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わるくない。


by moriwo27
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加速し続ける自転車

飲み会があったので、友達にチャリを借りた。
そのチャリを借りた時点で少しどころではない違和感を感じていた。

その自転車はチェーンがはずれているのだ。
いやもっと正確に言うと、チェーンは常にはまっているのだが、
ごくまれにしかペダルの回転をタイヤの回転に伝えることが
できていないのだ。

したがって、チャリに乗ってペダルを空転させていると、
不意にペダルをこぐ力がタイヤに伝わるという代物。
空転しているのを傍から見ると完全にアフォみたいだ。

その瞬間はいつ起きるのかもわからないし、
ふとした段差やスピードの加減で機能した自転車になる。
そして、一瞬でも気を抜いてチェーンを緩めた状態にすると
再びペダルは空転し、ただの扱いづらい台車と化す。

自転車を借りた後、5分くらい空転を続けた後に、
始めての瞬間が訪れた。
やっと、ペダルを漕ぐ足が自転車の重さを捉えることができた。
この5分間はひょっとしたらそんな瞬間など来ないのでは
ないかと思うくらい長かった。

そして機能した自転車に乗りながら
2分くらい進むと、それまでの幸せな瞬間はあっけなく壊された。
チャリが再び空転をし始めたのだ。
原因はわかっていた。
おれがペダルをこぐのを緩めたからだ。

自転車というものは普段気付いていないかもしれないが、
漕いでいる時間というものは足を止めている時間と
そう大差ない乗り物だ。したがって、漕いでいる時間と
足を止めて慣性で進むことの繰り返しで進んでいく。

この自転車はその足を止める作業を許してくれない。
一瞬でもペダルを回転させることをやめたとたん
自転車は機能しなくなる。
しかも、ただ足を回転させるだけに留まらず
常にある程度のテンションを自転車のチェーンにかけなくてはならず、
したがって、自転車はどんどんスピードを増していくことになる。

漕ぎ出して2分後の空転の後にそのことに気付き、
それ以来は常にチェーンにテンションをかけ、
自転車を加速し続けた。

人が現れた時や信号で止まる時にブレーキをかける瞬間も、
常に力を入れながらブレーキを握るという荒業。
「なんで、おれは止まりたいのにチャリを漕いでいるのか」
という自己矛盾に陥りながらも、力を加えながらのブレーキ。

ブレーキ、あまり効かない。

坂道も悲惨だ。
下りで如何に人は足を止めているのかを実感しつつ、
テンションを緩めないために漕いだ結果、
坂道で加速し続ける結果に。
そしてすごい速度になった後、
気分的には加速しながらブレーキ。

「あー、この自転車嫌だ」と思いつつも、
何度も空転して→治してしているうちに、
最後の方では愛着を覚えてしまった。

わるくない。

そして長文(駄文)を最後まで読んでくれた方に感謝。
by moriwo27 | 2005-11-18 13:49 | 悪くない